嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん

  1. まずは

イラストから。
派手な色を使わず、全体的に落ち着いた感じですね。
そしてまあ本編にはイラストが無く、章の間に過去の出来事と一緒に影絵のような絵が入っているだけ、といった作りになっています。これはこれで面白いんですけど。
そしてカバーを外し、その裏を見たら・・・ドン引き要素満載ですね。最初にこれを見て、それから買ってしまう人は少ないんじゃないかなぁ、と。

  1. 次に

本編。

八年前、一つの誘拐事件がこの町で起きた。
現在は、誘拐事件と連続殺人事件が、同時に起きている。
八年前、事件にまき込まれた「嘘つき」のみーくん
同じく事件に巻き込まれた「壊れた」感情の持ち主のまーちゃん
そして彼らを取り巻く人々との、狂った日常と殺人事件の犯人探し。


概要はこんな感じですかね。簡単すぎる気もしますが。
とにかく、みーくんとまーちゃんが狂ってる。誘拐されたのとその後のことを考えてみれば、分からない事もないんですけど。精神科医がさじを投げたって。ねえ。どうしようもない訳ですよ。
ストーリーは面白いんですけどね。狂った人間の心理、見たいなものをうまく利用して話は進んでいきまして。文中に一つ、読者をだますトリックが仕掛けられています。それにまんまと嵌められて私は二度も読み直すハメになったわけですが。
また、この物語の語り手はみーくんですので、嘘のたくさん混じった地の文や会話文が特徴的かつ魅力的であったりします。
これら2つのことを合わせてこの本は面白いのではないかと思います。もちろん、「楽しい」といった類のものではありませんがね。

  1. 結論

かなり良かったです。
しかし、電撃文庫はよくこんな本を売り出せたなあ、と。まえがきでも「電撃小説大賞の最終選考会で物議を醸した問題作」って書かれてますし。しかしまあ続刊が出てますから(現在8巻?)それなりに好評だったのかな?
電撃が小説を公募する際のキャッチコピー「ライトノベルをぶっ壊せ!」がこれほど上手い文句に見えたのは初めてでした。